米津玄師「さよーならまたいつか！」の歌詞の意味を考察！燕が象徴する出会いと別れのサイクル

この楽曲は、出会いと別れ、そしてその中で揺れ動く感情を描いた、力強くもどこか切ない印象を与える作品です。タイトルにもある「さよーならまたいつか！」という言葉は、一見すると軽い別れの挨拶のように聞こえますが、歌詞全体を通して考察すると、単なる別れではなく、未来への希望や再会への願いが込められているように感じられます。

モチーフ：「燕」が示すもの

歌詞の中に登場する「燕」というモチーフは、この楽曲を解釈する上で重要な鍵となります。燕は春の訪れを告げる鳥であり、渡り鳥であることから旅や移動のイメージを連想させます。

大人になることと燕の不在

冒頭の「どこから春が巡り来るのか／知らず知らず大人になった／見上げた先には燕が飛んでいた／気のない顔で」という部分は、子供から大人へと成長する過程において、かつては身近に感じていた春の象徴である燕が、いつの間にか遠い存在になってしまったような、あるいは無関心に見えるようになったという感覚を表しているのではないでしょうか。純粋な気持ちや希望を持っていた子供の頃と比べて、大人になるにつれて現実を知り、無気力や諦めに似た感情を抱くようになった主人公の心象風景が、「気のない顔で」飛ぶ燕の姿に投影されていると考えられます。

翼への憧憬と悲しみ

「もしもわたしに翼があれば／願う度に悲しみに暮れた」という歌詞は、燕のように自由に空を飛びたいという強い願望と、それが叶わない現実との間で感じる葛藤を描いています。翼は自由や解放の象徴であると同時に、この世界から飛び立ちたいという逃避願望の表れとも解釈できます。しかし、それを「願う度に悲しみに暮れた」と表現することで、主人公が自身の無力さを痛感し、深い悲しみを抱えていることが伝わってきます。

再会への願いを込めた別れ

「さよなら100年先でまた会いましょう／心配しないで」というフレーズは、別れを告げながらも、未来での再会を強く願う気持ちを表しています。「100年先」という途方もない時間は、すぐに再会できるわけではないという諦めにも似た感情を含んでいるかもしれませんが、それでも「また会いましょう」と未来への希望を語ることで、悲しい別れに一縷の光を灯しているように感じられます。「心配しないで」という言葉には、相手への思いやりとともに、自身の未来に対する決意のようなものが込められているのかもしれません。

感情の起伏と行動

楽曲の中では、恋に落ちて傷つき、それでも前に進もうとする主人公の感情の起伏が描かれています。「誰かと恋に落ちて／また砕けてやがて離れ離れ」という経験は、喜びと悲しみを同時に味わう、人間関係における普遍的な出来事です。その痛みを「口の中はたと血が滲んで／空に唾を吐く」という激しい行動で表現することで、主人公の強い frustration と、それでも抗おうとする意志が伝わってきます。

また、「土砂降りでも構わず飛んでいく／その力が欲しかった」というPre-Chorusの歌詞は、困難な状況にも臆することなく進む力強い存在への憧れを示唆しています。続く「瞬け羽を広げ／気儘に飛べどこまでもゆけ」というChorusのフレーズは、その憧れを自身に重ね合わせ、自由への強い希求を表していると言えるでしょう。

Verse 2では、孤独や虚無感が漂う情景が描かれています。「しぐるるやしぐるる町へ歩み入る／そこかしこで袖触れる／見上げた先には何も居なかった／ああ、居なかった」という描写は、人との接触はあるものの、心は満たされず、空虚感を抱えている主人公の心情を表していると考えられます。

しかし、続くPre-Chorusでは、「したり顔で触らないで／背中を殴りつける的外れ／人が宣う地獄の先にこそ／わたしは春を見る」と、周囲の無理解や的外れな言動に対する反発心と、絶望の先に希望を見出そうとする強い意志が示されています。

二度目のChorusでは、「誰かを愛したくて／でも痛くていつしか雨霰／繋がれていた縄を握りしめて／しかと噛みちぎる」という歌詞から、過去の束縛や痛みを断ち切り、新たな関係性を築きたいという強い願望が読み取れます。「貫け狙い定め／蓋し虎へどこまでもゆけ」という力強い言葉は、目標に向かって突き進む決意と、内に秘めたる強さを象徴していると言えるでしょう。「100年先のあなたに会いたい／消え失せるなよ」というフレーズは、未来の特定の誰かへの強い想いと、その存在が消えてしまうことへの恐れを示唆しており、主人公の孤独と愛情深さが垣間見えます。

Post-Chorusでは、過去の経験を振り返りながらも、「生まれた日からわたしでいたんだ／知らなかっただろ」という自己肯定の言葉が印象的です。他者の理解を得られなくても、自分自身の存在意義を強く認識していることが伝わってきます。

肯定的なニュアンスの単語

春、飛んでいた、翼、心配しないで、花、飛んでいく、恋、羽、広げ、気儘に、ゆけ、憶えてる、歩み入る、春、愛したくて、繋がれていた、握りしめて、貫け、狙い定め、会いたい、生まれた日、いたんだ

否定的なニュアンスの単語

気のない、悲しみ、嘘、落ちた、土砂降り、砕けて、離れ離れ、血が滲んで、唾を吐く、知らねえ、居なかった、触らないで、殴りつける、的外れ、地獄、痛くて、雨霰、噛みちぎる、蓋し、消え失せるなよ、知らなかっただろ

歌詞に沿った80字程度のストーリー

春を待ちながら大人になり、恋に傷つき、それでも翼を広げ自由に飛びたいと願う。孤独の中、過去の痛みを噛みちぎり、未来の誰かに会いたいと願いながら、「さよーならまたいつか！」と別れを告げる。