RADWIMPS「me me she」の歌詞の意味を考察! 今度は僕が待つ。2085年まで

この歌詞は、深く愛した人との別れを通して、喪失感、後悔、そして感謝の念が複雑に絡み合いながら、最終的に自己肯定へと繋がっていく心情を描いたものと言えるでしょう。タイトルにある「me me she」という言葉は、二人の関係性を象徴的に表しており、主体である「僕」、客体である「君」、そして二人称の「she」が並ぶことで、一方通行ではない、相互に影響を与え合う特別な関係性を示唆していると考えられます。

喪失と後悔の念

冒頭の「僕を光らせて君を曇らせた/この恋に僕らの夢をのせるのは重荷すぎたかな」というフレーズは、この恋愛において「僕」が主体的に輝き、「君」がその陰に隠れてしまったのではないかという後悔の念を表していると解釈できます。「僕らの夢」という言葉からは、二人が共有していた未来への希望が感じられますが、それが「重荷すぎたかな」という問いかけによって、その夢が破綻してしまった可能性を示唆しています。

続く「君の嫌いになり方を僕は忘れたよ/どこを探しても見当たらないんだよ」という部分は、「君」への強い愛情が今もなお消えることなく、「僕」の中に深く根付いていることを示しています。嫌いになりたくてもなれない、忘れようとしても忘れられない、そんな切実な思いが伝わってきます。

「あの日どうせなら/「さよなら」と一緒に教えて欲しかったよ/あの約束の破り方を 他の誰かの愛し方を/だけどほんとは知りたくないんだ」という一連のフレーズは、別れという避けられない現実に対する複雑な感情を表しています。「さよなら」と共に、二人が交わした約束がどのようにして破られるのか、そして「君」が他の誰かを愛するようになるのかを知りたいという気持ちと、同時にそれを知りたくないという矛盾した感情が入り混じっています。特に「約束の破り方」という表現には、二人の間に確かに存在した絆が断ち切られてしまったことへの深い悲しみが感じられます。

時間と約束

「約束したよね 「100歳までよろしくね」/101年目がこんなに早くくるとは思わなかったよ」という部分は、二人が未来を永遠に共に過ごすことを誓い合っていたにもかかわらず、その約束があっけなく終わりを迎えてしまったことへの驚きと悲しみを表しています。「100歳までよろしくね」という甘い約束と、「101年目」という具体的な数字の対比が、失われた未来の大きさを際立たせています。

「こんなこと言って ほんとにごめんね/頭で分かっても心がごねるの」というフレーズは、別れを受け入れようと理性では理解しているものの、感情がそれを拒否しているという葛藤を描いています。「心がごねる」という表現が、抑えきれない感情の動きを率直に表しています。

自己の確立と感謝

「だけどそんな僕/造ってくれたのは 救ってくれたのは/きっとパパでも 多分ママでも 神様でもないと思うんだよ/残るはつまり ほらね君だった」という部分は、この歌詞における重要な転換点と言えるでしょう。苦悩する「僕」を形成し、救ってくれたのは、家族や神といった存在ではなく、他でもない「君」だったと気づく瞬間です。この認識は、「君」との関係が「僕」にとってどれほど深く、かけがえのないものだったかを改めて示しています。

「僕が例えば他の人と結ばれたとして/二人の間に命が宿ったとして/その中にもきっと 君の遺伝子もそっと/まぎれこんでいるだろう」という部分は、たとえ「君」がいなくなったとしても、「君」との繋がりが「僕」の中で永遠に生き続けるという強い思いを表しています。「遺伝子」という具体的な言葉を用いることで、単なる思い出ではなく、より根源的なレベルでの繋がりを示唆しています。

「でも君がいないなら きっとつまらないから/暇つぶしがてら2085年まで待ってるよ」というフレーズは、一見するとユーモラスにも聞こえますが、その裏には「君」のいない世界への深い絶望と、それでもわずかな希望を抱き続けようとする「僕」の複雑な感情が込められています。「2085年」という具体的な未来の年号を示すことで、永遠にも近い時間を待ち続けるという強い意志を表していると解釈できます。

「今までほんとにありがとう 今までほんとにごめんね/今度は僕が待つ番だよ 君が生きていようとなかろうと/だってはじめて笑って言えた約束なんだもん」という部分は、「君」への感謝と謝罪の言葉が繰り返され、今度は「僕」が「君」を待つという新たな決意が表明されています。「はじめて笑って言えた約束」という言葉からは、過去の約束とは異なる、前向きな気持ちで未来に向き合おうとする「僕」の姿が垣間見えます。

「「さよなら」と一緒に 僕からの言葉を/「ありがとう」と一緒に 「ごめんね」を」というフレーズは、別れの言葉である「さよなら」に、感謝と謝罪の気持ちを込めて伝えようとする「僕」の誠実な思いが伝わってきます。

自己肯定への萌芽

「「空が綺麗だね 人は悲しいね」/また見え透いたほんとで僕を洗ってよ/次がもしあれば」という部分は、日常の美しい風景の中に潜む悲しみを感じつつ、それでも真実を受け止め、未来へのわずかな希望を抱こうとする「僕」の姿を描いています。「見え透いたほんと」という表現は、時に残酷な現実を指しているのかもしれません。

「僕の好きな君 その君が好きな僕/そうやっていつしか僕は僕を大切に思えたよ」というフレーズは、この歌詞における最も重要なメッセージの一つと言えるでしょう。「君」が好きだった「僕」、そして「僕」が好きだった「君」という相互の愛情を通して、「僕」は初めて自分自身を大切に思えるようになったと語っています。他者からの肯定的な眼差しを通して自己肯定感を得るという、人間関係における重要な側面を示唆しています。

「ありがとう」というモチーフ

この歌詞全体を通して重要なモチーフとなるのは、最後のフレーズにもある「ありがとう」という言葉です。別れという悲しい出来事を経験しながらも、「僕」は最終的に「この恋に僕が名前をつけるならそれは「ありがとう」」と結論付けています。これは、共に過ごした時間、与えられた愛情、そして「君」という存在を通して「僕」が得た成長に対する深い感謝の念を表していると言えるでしょう。悲しみや後悔を乗り越え、過去の経験を肯定的に捉えようとする「僕」の強い意志が感じられます。

肯定的なニュアンスの単語

光らせて、夢、好き、よろしく、救って、きっと、そっと、綺麗だね、大切に、ありがとう

否定的なニュアンスの単語

曇らせた、重荷すぎた、嫌い、忘れた、見当たらない、どうせ、さよなら、破り方、ほんとは知りたくない、こんなに早く、ごめんね、ごねる、いないなら、つまらない、暇つぶし、待ってる、悲しいね、見え透いた

歌詞に沿った80字程度のストーリー

光る僕と曇る君、夢は重すぎた。嫌いになれず、さよならも言えず。約束は早く過ぎ、ごめんねと心は叫ぶ。君が僕を造り、いないとつまらない。ありがとうと、今度は僕が待つ。

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